工務店ビジネスは、住宅という高単価かつ完成までに数か月から1年以上を要する商材を扱う、典型的な受注生産・長期契約型のビジネスです。問合せから商談、契約、設計、施工、引き渡しまで、ひとりの顧客と長期にわたって関わります。さらに、引き渡し後も保証・定期点検・メンテナンス・リフォーム・紹介という形で関係が続くため、顧客情報を長期にわたって管理し続ける必要があります。
また、地域工務店ではOB顧客からの紹介やリピート受注が新規受注に占める比率が高く、顧客情報そのものが経営資産として大きな価値を持ちます。それにもかかわらず、現場では顧客データが担当者個人のメモやメール、紙の書類に分散していることが多く、担当者の異動や退職をきっかけに重要な情報が失われるリスクが常にあります。属人化の解消という観点からも、顧客管理の仕組み化は避けて通れません。
顧客管理というと、すぐに「どのCRMツールを入れるか」という議論になりがちです。しかしツールを導入する前に整理すべきは、自社にとって何を、どの粒度で管理するかという項目設計です。項目があいまいなままツールを導入しても、入力ルールがばらつき、結局活用されないという事態に陥ります。
どの工務店でも共通して必要になる基本項目は次の通りです。
住宅という長期使用商品を扱う工務店だからこそ重要になる項目もあります。
これらの項目は、リフォーム提案や紹介依頼の自然なきっかけになります。とくに紹介関係を可視化できると、紹介発生のパターンが見え、紹介施策の打ち手が具体化します。
項目設計と並行して整えたいのが、顧客のステータス管理です。「見込み客/商談中/契約済/施工中/引き渡し済OB」といった段階を定義し、各段階で誰がどんなアクションを取るかをルール化します。
段階を定義しておくことで、たとえば「商談中の顧客には2週間に1回フォロー連絡」「引き渡し済OBには年1回ニュースレター送付」といった運用が明確になります。ステータス遷移のタイミング(契約締結時に「商談中」から「契約済」へ更新するのは誰の役割か、など)もルール化しておくと、ステータスの取りこぼしが減ります。
顧客管理のなかで、もっとも属人化しやすく、もっとも経営インパクトが大きいのがOB顧客の管理です。引き渡し後の顧客は社内的に「終わった案件」になりやすく、関係維持の仕組みがないと自然に疎遠になっていきます。
仕組み化のポイントは、定期点検のタイミングや保証期限を自動的にリマインドする仕掛けを作ることです。引き渡し時点で、その後の点検予定や保証期限が顧客情報に紐づいて自動的にリスト化される状態にしておけば、毎月そのリストを確認するだけで漏れなくフォローできます。
あわせて、紹介発生やリフォーム再受注のきっかけになる情報(家族構成の変化、住み心地に関する声、不満点や要望)も蓄積しておくと、次の提案につながります。OBイベントの開催や定期通信の発送と組み合わせると、関係維持の効果はさらに高まります。
管理項目と運用ルールが固まれば、それを支えるツールを選ぶ段階に進みます。工務店が選択肢として持ちうるツールは、次のように整理できます。
どのツールを選ぶにせよ、項目設計と運用ルールが固まっていなければ機能を活かしきれません。ツール選定はあくまで「基盤を運用する手段」と捉えることが大切です。
工務店の顧客管理は、「どのツールを入れるか」というツール選定の話ではなく、「何を、どの粒度で、誰が管理するか」という情報基盤の設計から始めることが本質です。基本項目に加えて、家族構成の変化や保証期限といった工務店ならではの項目を盛り込み、顧客ステータスを段階管理し、OB顧客のフォローを仕組み化することで、はじめてツールが力を発揮します。
まずは自社の現状の管理項目を棚卸しし、不足している項目や属人化している領域を洗い出してみてください。そのうえで、CRMやSFA、MAツールといった関連記事を参考に、自社の段階に合った選択肢を検討するとよいでしょう。


先細りしていく住宅市場において、工務店・住宅会社が利益を確保するためには、何を武器に自社の強みを打ち出していくのか、他社とどう差別化していくのかを明確にし、施主にアピールすることが重要です。ここでは、工務店が加盟できる耐震性に優れた工法を提供している会社の中から、加盟店数が多かった支持されている3社を紹介します。