建設業界では、働き方改革の一環として「時間外労働時間の上限規制」の適用が2024年4月から始まりました。ここでは2024年問題が工務店経営に影響を与える理由と、工務店が2024年問題を解決する方法を紹介します。
時間外労働時間の上限規制が設けられると起こる問題は、「工数に合わせた残業ができなくなる」ことです。たとえあと1時間あれば終わる作業であっても、上限規制にひっかかってしまうと作業は続けられず、残りの作業は翌日に持ち越すことになります。
建設業界は業種の異なる職人たちが集まり、1つの建設物を完成させています。「現場の作業をスムーズに行うために」と残業で対応する職人は多く、上限規制により残業できない場合は増員が必要となります。採用状況によっては現場のスケジュールが遅れてしまうと危惧する声は少なくありません。
前日に1時間の残業ができれば、1時間分の残業代を支払うだけで済みます。しかし残業ができなくなると、職人に日給を支払う契約条件では、たとえ1時間の作業であっても翌日分の人件費を1日分支払わなくてはりません。1時間分の作業があると、職人が違う仕事を入れられず、1日分拘束することになるためです。
日給を支払う契約条件においては、職人に1時間だけの出勤をさせることができません。次に職人が現場に来るタイミングに作業をスライドできるならよいのですが、今すぐに行わなければならない作業もあります。他の職人がカバーに入ることになると、現場が慌ただしくなってしまいます。
したがって人件費がかさむと、結果的に依頼主が支払う建築費用が高くなります。
2024年問題を解決するための採用活動は、ただ人を採用できれば良いわけではありません。経験、実力、そして人柄、やる気などを考慮し、質の良い採用活動を行うことが大切です。
まずは、採用したいターゲットを明確にしましょう。そして企業文化を魅力的に発信することで、会社に興味をもつ人材が集まります。教育プログラムを充実させることも、質の良い人材を育てるために大切です。
DXの推進により、業務の効率化が期待できます。1人ひとりの業務負担が軽減され、働き方にゆとりが生まれることで細かなミスが発生しづらくなるでしょう。従業員にかかるストレスやプレッシャーが軽減されると、やる気アップにもつながって業務効率化が期待できます。
具体的な方法の1つが、ペーパーレス化です。デジタルツールでIoTの導入・クラウドサービスの活用によってリモートアクセスを可能にすると、負担軽減につながります。またデータ分析精度が上がれば、より良く無駄のない業務が行えるでしょう。
AIを活用すれば、今まで人の手で行っていた作業を処理できます。例えばAIのデータ分析による施工計画の検討やリアルタイムの品質管理、予測モデルを活用した安全管理、危険エリアへのロボット導入などです。
AIを導入して職人に頼ることなく処理できる作業が増えることで、人件費を抑えながら工期通りに建築ができます。
工務店経営には、2024年問題も重くのしかかる大きな課題です。AIの活用やDXの推進、そして質の良い人材採用を行いながら、2024年問題によって発生する影響を解消していきましょう。
先細りしていく住宅市場において、工務店・住宅会社が利益を確保するためには、何を武器に自社の強みを打ち出していくのか、他社とどう差別化していくのかを明確にし、施主にアピールすることが重要です。ここでは、工務店が加盟できる耐震性に優れた工法を提供している会社の中から、加盟店数が多かった支持されている3社を紹介します。