「後継ぎがいない」「自分の代で終わるかもしれない」——そんな不安を抱えている工務店経営者は少なくありません。実は、この悩みは自社だけの問題ではなく、建設業界全体が直面している課題です。ここでは最新の統計データをもとに、廃業を避けるための選択肢を解説します。
帝国データバンクが2025年11月に公表した調査によると、全国の後継者不在率は50.1%で、7年連続の改善により過去最低を記録しました。事業承継支援の広がりを背景に、日本企業全体では後継者問題が緩やかに解消に向かっています。
しかし、建設業に限ると57.3%と、8業種の中で最も高い水準にあります。2018年のピーク時(71.4%)と比べれば14.1ポイント改善していますが、依然として他業種より深刻な状況が続いています。さらに業種を細かく見ると、住宅建築などを含む「職別工事業」は61.3%となっており、全業種の中分類でも2番目に高い水準です。
参照元:帝国データバンク「全国『後継者不在率』動向調査(2025年)」(https://www.tdb.co.jp/report/economic/20251121-successor25y/)
M&A仲介会社の分析では、建設業特有の事情として、資金繰りの波が大きいこと、職人不足が慢性化していること、将来の見通しが立てにくいことなどから、後継者候補となる親族が承継を辞退するケースが目立つと指摘されています。「継いでほしい」という経営者の思いがあっても、子ども世代が都市部で別のキャリアを築いていて、戻ってこないというケースも珍しくありません。
後継者問題の解決策は、親族への承継だけではありません。帝国データバンクの調査でも、血縁関係のない役員・社員を後継者とする「内部昇格」が、初めて同族承継を上回る結果となっています。後継者候補の属性としても「非同族」が初めて4割を超えており、事業承継のあり方そのものが変化しています。
M&Aと聞くと、大企業同士の話、あるいは経営に行き詰まった末の「身売り」というイメージを持つ経営者も少なくありません。しかし、実際には従業員の雇用を守り、取引先との関係を継続するための前向きな選択肢として活用されるケースが増えています。
廃業してしまえば、これまで築いてきた商圏や技術力、顧客からの信頼はすべて失われます。一方でM&Aであれば、多くの場合、既存従業員の雇用条件が引き継がれ、会社の看板や取引関係を残したまま次の世代に引き継ぐことができます。建設業の場合、建設業許可の引き継ぎには法人・個人事業で扱いが異なるなど実務上の論点もあるため、検討する際は専門家に相談しながら進めることをおすすめします。
事業承継の準備には数年単位の時間がかかるといわれています。後継者候補の育成、株式・財産の整理、取引先や金融機関との関係整理など、やるべきことは多岐にわたります。「まだ早い」と先送りするのではなく、経営者自身が60歳前後に差しかかったタイミングで、一度専門家に相談してみることが望ましいでしょう。後継者候補を社内で育成する場合は、人材育成の取り組みとあわせて計画的に進めることが重要です。
建設業の後継者不在率は依然として高い水準にありますが、内部昇格やM&Aなど、廃業以外の選択肢は着実に広がっています。自社の状況を早めに整理し、複数の選択肢を比較検討できる状態にしておくことが、これまで築いてきた事業と従業員を守ることにつながります。差別化戦略とあわせて、自社の将来像を考えるきっかけにしていただければと思います。


先細りしていく住宅市場において、工務店・住宅会社が利益を確保するためには、何を武器に自社の強みを打ち出していくのか、他社とどう差別化していくのかを明確にし、施主にアピールすることが重要です。ここでは、工務店が加盟できる耐震性に優れた工法を提供している会社の中から、加盟店数が多かった支持されている3社を紹介します。