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工務店の一人親方取引とインボイス制度の実務

下請けに一人親方を抱える工務店にとって、インボイス制度への対応は「導入時に一度整理すれば終わり」ではありません。2026年10月から、免税事業者との取引に関わる経過措置の内容がまた変わります。ここでは、制度改正の内容と、一人親方との取引で工務店が注意すべき実務上のポイントを整理します。

2026年10月から、免税事業者との取引の消費税負担が変わる

インボイス制度導入時の激変緩和措置として、免税事業者からの課税仕入れについても一定割合を仕入税額控除できる経過措置が設けられていました。この控除割合が、令和8年度税制改正により、次のように段階的に引き下げられることが確定しています。

この改正は、令和8年10月1日以後に開始する課税期間から適用されます。あわせて、一の免税事業者等からの課税仕入れの額が年間1億円を超える場合、その超えた部分については本経過措置の対象外となる新しい制限も設けられました。

参照元:国税庁「インボイス制度に関する令和8年度税制改正について」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice-review/pdf/0026002-095.pdf)

免税事業者である一人親方に支払う金額が変わらなくても、工務店側が仕入税額として控除できる金額は今回の改正で目減りします。取引先に免税事業者の一人親方が多い工務店ほど、自社の消費税負担への影響を早めに試算しておく必要があります。

一人親方(免税事業者)との取引で工務店が注意すべきこと

控除割合の引き下げを理由に、免税事業者である一人親方に対して、価格の一方的な引き下げや取引条件の変更、あるいは取引そのものの打ち切りを通告することには注意が必要です。こうした対応は、下請代金支払遅延等防止法や独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に該当するおそれがあります。

国土交通省も、建設業の下請取引の適正化について継続的に指導・監督を行っています。価格を見直す場合は、一方的な通告ではなく、双方協議のうえで進めることが原則です。

参照元:国土交通省「建設業法令遵守・指導監督」(https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000178.html)

一人親方側の選択肢と、工務店としての向き合い方

一人親方の側には、適格請求書発行事業者として登録し課税事業者になる、あるいは免税事業者のままでいる、という選択肢があります。登録して課税事業者になった個人事業者については、令和9年分・令和10年分の消費税申告に限り、納付税額を売上税額の3割に抑えられる「3割特例」が設けられています。

参照元:国税庁「インボイス制度に関する令和8年度税制改正について」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice-review/pdf/0026002-095.pdf)

どちらを選ぶかは一人親方自身の判断ですが、工務店側としては、まず取引先ごとに課税事業者・免税事業者のどちらであるかを把握し、その組み合わせによって自社の負担がどう変わるのかを整理しておくことが実務上の出発点になります。

実務対応の進め方

2026年10月の変更に向けて、次のような準備を進めておくとよいでしょう。

資材高騰による原価管理の見直しとあわせて検討したい工務店も多いと思います。原価管理の考え方については、当メディアの別記事「資材高騰・為替変動にどう向き合うか|工務店の原価管理」もご参照ください。

まとめ|段階的な変化を見据えて、早めに整理しておく

インボイス制度の経過措置は、2026年10月を皮切りに、令和13年まで数年かけて段階的に縮小していきます。目先の10月対応だけでなく、この先の変化も見据えて、一人親方との取引条件や自社の消費税負担への影響を早めに整理しておくことが、円滑な取引関係を保ちながら経営を安定させることにつながります。

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