2025年4月にすべての新築住宅で省エネ基準への適合が義務化されたことは、すでにご存じの工務店も多いはずです。しかし国はその先の方針も示しており、新築住宅の省エネ性能を段階的にさらに引き上げていく計画が進んでいます。ここでは、今後の省エネ基準のロードマップと、工務店が今のうちに準備しておきたいことを、公的な一次情報をもとに整理します。
国土交通省の資料では、新築住宅について「ZEH基準の水準及びそれを上回る水準の省エネルギー性能を有する住宅の普及を図る」との方針が示されており、建築物省エネ法に基づき、遅くとも2030年までに新築住宅の省エネ基準をZEH水準まで引き上げるという方針が示されています。
参照元:国土交通省「住宅性能表示制度の見直しについて」(https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001885272.pdf)
現行の省エネ基準適合住宅を標準仕様としている工務店にとっては、いずれ標準仕様そのものの底上げが必要になるということです。基準の引き上げは一定の準備期間を経て段階的に行われるため、直前になって慌てないよう、早めに方向性を把握しておくことが望ましいでしょう。
ZEH水準を上回る「GX志向型住宅」(断熱等級6以上などの要件を満たす住宅)を新築する場合の支援策として、国は「子育てグリーン住宅支援事業」を実施してきました。ただし、このうち新築住宅向けの枠は、2025年7月22日時点で予算に対する申請額が上限に達したため、交付申請の受付が終了しています。
参照元:国土交通省報道発表資料「『子育てグリーン住宅支援事業』のうち『GX志向型住宅』の交付申請の受付を終了しました」(https://www.mlit.go.jp/report/press/house04_hh_001292.html)
業界紙の報道によれば、2025年11月28日閣議決定の補正予算により、後継となる支援策が来年度以降も実施される見通しとされています。断熱等級6以上などの要件を満たす住宅を対象に、地域区分に応じた補助額(1〜4地域で125万円/戸、5〜8地域で110万円/戸)が示されていますが、正式な公募開始時期や要件の詳細は、実施の都度、国土交通省の公式サイトで最新情報を確認する必要があります。
参照元:新建ハウジング「【速報】補正予算でGX志向型住宅への支援継続へ」(https://www.s-housing.jp/archives/404840)
国の審議会では、現行の断熱等性能等級6・一次エネルギー消費量等級6よりもさらに高い省エネ性能を評価する新しい等級区分の創設が議論されています。ただし、本稿執筆時点では正式な施行時期は示されていません。今後、告示や制度要件が公表され次第、対応を検討する必要がある段階だとご理解ください。
基準の引き上げそのものは数年単位のスケジュールで進みますが、標準仕様の断熱性能を今のうちから引き上げておけば、将来の基準変更にも慌てず対応できます。また、補助金は年度ごとに予算や要件が変わり、申請枠に達すると年度途中でも受付が終了することがあるため、商談の場では「現時点の情報」であることを施主にも伝えたうえで、常に最新の公募要領を確認する体制を整えておくことが重要です。
省エネ性能の引き上げは、住宅ローン減税の借入限度額にも関わってきます。ZEH水準省エネ住宅と省エネ基準適合住宅の違いについては、当メディアの別記事「住宅ローン減税2026年度改正を施主に説明する住宅営業トーク」でも解説していますので、あわせてご確認ください。ZEH導入のメリット・デメリットといった基礎知識は、当メディアの別記事「工務店経営に取り入れたいZEH」も参考にしてください。
省エネ基準は、2025年4月の義務化を経て、2030年のZEH水準への引き上げに向けて段階的に進んでいく見通しです。GX志向型住宅の補助金のように、年度ごとに変動する制度もあるため、断定的な情報をそのまま施主に伝えるのではなく、常に最新の状況を確認する姿勢が求められます。標準仕様の底上げを早めに進めておくことが、この先の基準変更にも慌てず対応できる工務店への近道です。


先細りしていく住宅市場において、工務店・住宅会社が利益を確保するためには、何を武器に自社の強みを打ち出していくのか、他社とどう差別化していくのかを明確にし、施主にアピールすることが重要です。ここでは、工務店が加盟できる耐震性に優れた工法を提供している会社の中から、加盟店数が多かった支持されている3社を紹介します。